ごく限られた耳鼻科でしかやってくれないBスポット(上咽頭)の治療。

激しい痛みと出血が伴う荒療法ですが効果があるのは実証済み。

ここではその歴史と治療法についてご紹介したいともいます。

堀口氏が上咽頭に着目したわけ

昭和59年に発刊された「Bスポットの発見」の著者・堀口申作氏は、

父親が医者だったこともあり自身も医者を志し東大医学部に入学しましたが、何を学ぶべきが悩んでいました。

しかし子供の頃から風邪をひきやすく、寝こみがちだったことから、

「風邪」に関して知識を深めたい、そして喉のイガイガの正体を突き止めたい!という思いから耳鼻咽喉科を専攻し、

卒業後は大学病院の医局に勤め始めたわけですが、やはり風邪に悩まされる生活を送っていたようです。

「この喉のイガイガはなんなんだ?!」

そんな疑問に感じる人は彼だけではないですが、

堀口氏は先輩からイガイガの正体はそこに炎症があるからと言われてびっくりしたそうです。

「風邪の原因は炎症なのか」

この時に先輩から炎症を鎮める薬品を注射器で塗布するやり方を教わったのです。

薬品は1%の塩化亜鉛やボスミン液で昔から消炎薬として使われてきた薬。

風邪気味の時に先輩に注射器で塩化亜鉛を噴射してもらったところ、痛くて椅子から飛び上がったそうですが

身を持ってBスポットの場所を確認したのです。

今までモヤモヤしていたのがカーテンが開くようにパァーッとなったかどうかはわかりませんが

この発見は堀口青年の今後の人生を大きく左右する出来事でもありました。

 

第一号の患者は甥だった

正月早々、実家に帰省していた甥が40度の高熱を出して寝込んでいたので、

注射器の代わりに用いたのが咽頭綿棒に1%の塩化亜鉛を染み込ませて塗布したところ、

案の定痛がっていましたが、なんと10分もしない内に布団から起き上がり歩き始めたのです!

 

「喉が渇いた、ジュース!」

 

甥っ子の何事もなかったかのような振る舞いに妹家族はもちろん、驚いたのは治療した堀口氏でしょう。

40度あった熱は順調にさがり、翌日には平熱になったという。

こうして偶然の出来事で行った綿棒で治療するという新しいスタイルを生み出し、

現在も多くの医師が同じ方法で治療しているのですから驚きです。

ちなみに咽頭注射器で吹き付けるよりも直接綿棒で患部を塗布するほうが効果があるということが分かっています。

最大のメリットは3つ

 

・炎症がある患部に直接塗ることが出来る

・塗布した後の綿棒に出血があるか確認することが出来る

・綿棒に付着した上皮細胞をチェックすることで炎症の度合いをチェックすることが出来る

 

ということで明らかに注射器よりも綿棒で塗布するほうが合理的な診断をすることが出来るということがお分かりいただけたと思います。

 

診断と治療方法

咽頭綿棒

(出典:書籍「Bスポットの発見」)

写真のような咽喉綿棒に塩化亜鉛を染み込ませて上咽頭患部に塗布するやり方は、

医師によって塩化亜鉛の濃度が異なったり、塩化亜鉛の代わりに別の薬剤を塗布する場合があります。

今は亡き堀口氏は1%の塩化亜鉛で治療、

また「病気が治る鼻うがい健康法」で紹介されている杉田耳鼻咽喉科の院長・杉田麟也氏も1%で行っています。

 

しかし上記の書籍の著者:堀田修氏(内科医)は専門分野で無いため、

半分の濃度である0.5%に抑えて治療していますが、

それでもちゃんと出血や痛みがあり、患者さんの症状が緩和されたことから濃度が半分でも問題はないと考えられます。

 

もう少し詳しく治療法を解説すると、

塩化亜鉛を染み込ませた綿棒を鼻から入れて1分、薬液が浸透するまで待ち引き抜く、

炎症があれば患者は痛がり綿棒に血が付着するでしょう。今度は口から綿棒を挿入して同じように塩化亜鉛を塗布します。

(杉田先生の方法であり、医師によってはやり方が異なります)

 

治療は毎日行うのがベストですが、遠方からくる患者さんは無理ですね。

ですから堀田氏は1日1~2回、0.25~0.5%の塩化亜鉛の点鼻を自宅で行うよう指導しているそうです。

但し自分で点鼻を行う時は注意が必要です。頭を傾けすぎると鼻腔奥の嗅神経まで刺激してしまい、嗅覚味覚が低下することがまれにあるようです。仰向けに寝て首の後ろに枕を置き頭がそれ以上さがらない状態にして行うようにします。

 

診断内容をもう少し医学的に説明すると、

炎症がある場合には上皮細胞が剥落し変形してびらん状になっており、

またこの中に動物の体内を自由に動き回る遊走細胞(白血球など)があれば炎症があると判断する。

まとめると、

・粘膜上皮の剥落の度合い

・混じっている細胞の種類

・遊走細胞の有無、細菌の種類や量

というように細胞レベルで見ると、炎症の度合いを詳しく知ることが出来ます。

 

Bスポット治療の効果は

ここでは堀口氏や堀田氏の本に記載されている症例の一部を紹介。

41歳の主婦の方
10年来のハウスダストアレルギー、年中くしゃみ鼻水鼻詰まりに悩まされ、3年間アレルギーの治療を受けたけど改善が見られず。更には頭痛・肩こり・憂鬱など自立神経失調症の症状も出ていたようです。堀口氏のもとを訪れ治療を行ったところ、上咽頭にはヒドい炎症があったので激痛が伴うと判断し麻酔剤を用いながら塩化亜鉛を塗布するという方法で行い、1週間目から症状は緩和され10日目辺りから塗布時の出血が消え、2週間目で疼痛はほとんど消えて諸症状も軽減、20日目辺りから症状は全くでなくなったという。しかし症状が出なくなったからと本人は通院をやめてしまい、案の定3ヶ月後に再び症状が出て来院してきたという。堀口氏によれば分泌物から好酸球が見られ、治療は続けなければいけなかったようです。初めからやり直しとなってしまいましたが、50日かけて治療を行いようやく完治したという。その後は1年間アレルギーの症状は出てないという。(書籍:Bスポットの発見より)

症状が治まるまでは毎日通院して塩化亜鉛を塗布し、初日から数日は塗布後にアレルギー特有のくしゃみ鼻水が酷くなる。これはBスポット治療の特徴であり、アレルギー疾患に限らず治療後は鼻水がよく出るので帰り道はティッシュが欠かせない。

この方に限らず、堀口氏はアレルギー患者を多数診療し、そのほとんどはBスポット治療で改善が見られたそうです。

 

21歳女性の方
1年ほど前に風邪を引いてから慢性的に喉が痛くなり発熱もあり、更に3ヶ月前から関節の痛みも出てきたという。しかも血液検査をするとIgA値が高くなっており、このまま行けばIgA腎症を発症する恐れがあるとのこと。調べてみると上咽頭に慢性的な炎症が見られたので、0.5%の塩化亜鉛を2ヶ月に一度、自宅では朝晩2回「微酸性電解水」を用いた鼻洗浄を行い様子見。2ヶ月後には関節痛は無くなり半年で治療は終了。あれほど頻繁に風邪を引いていたのに通院中は一度も引かず、高かったIgA値も徐々に下がっていったそうです。(書籍:病気が治る鼻うがい健康法より)

彼女のように上咽頭炎の治療で関節痛が治まるケースは多く、

例えば難病と言われる関節リウマチが改善した事例も報告されています。

これは堀口氏の本にも掲載されていますので、リウマチに関しては別記事で紹介したいと思います。

まとめ

長くなってしまいましたが、Bスポットの歴史から治療法までご紹介しました。

この治療法は患者の炎症度合いによって治療期間が異なったり、生活習慣によっては再発もあれば人によって効果が感じられない場合ももちろんあります。また、口呼吸の習慣がある方は慢性的に炎症を起こしやすい環境であるため、治療期間が長かったり再発の可能性は非常に高いと言えるでしょう。